人類の遺産ともいうべき仏教遺跡はどうなったのか、正確な情報を求めて現地へ緊急取材を敢行した | ヤンゴンプレス(Yangon Press)| 日本とミャンマーをつなぐ情報誌 ミャンマーのニュースを日本にお届け

人類の遺産ともいうべき仏教遺跡はどうなったのか、正確な情報を求めて現地へ緊急取材を敢行した

バガン地震被害調査レポート 2016/09/06

―共同取材― ヤンゴンプレス×サラトラベルミャンマー

大きな地震に見舞われたバガンは大丈夫なのか。実際、正確な情報が伝わってこないだけに、この世界的な仏教遺跡の現況を危惧する方が多い。そこで今回の地震後の状況、観光業への影響、遺跡の保守、復元プランなどを確かめるために、バガン唯一の日系旅行会社の『サラトラベルミャンマー』のご協力を得て共同取材を行った。責任者への取材や地元の方々の卒直な感想を聴き、ミャンマーの遺産はどうやら大丈夫だとの感触を得た。

 

概況

去る8月24日午後5時4分に、バガンから35マイル、Chaukの西側から12マイル離れたところを震源地とした震度6.8の地震が発生した。バガンは今から約40年前の1975年にも地震に見舞われたが、今年の地震は仏教遺跡群が集まるバガン考古地域で397塔ものパゴダが被害を受けたと、公式の調査で判明した。

仏教聖地の『バガン』は言うまでもなくミャンマー人の“心の拠り所”であり、ビルマの歴史を紐解くうえで重要な位置を占め、まさに国家の誇りともいうべき場所である。しかも、風光明媚な自然が11世紀に建立された大小の遺跡群の周囲を囲み、ここを訪れる人々を魅了する。

地震災害後はミャンマー国民のみならず、国連をはじめ世界各国から人類全体の遺産ともいうべきこの古都の遺跡やバガンの町の状況を危惧する声が寄せられた。そして翌日には4千塔近くの遺跡群のうち、約10%に相当する397塔のパゴダに被害が及んだと国営テレビ局が発表した。

今回の地震では近隣のMa Gway 、Pakkoku などで犠牲者が3人出たが、幸いにも考古学的保護エリアのバガン地域内での犠牲者はなかった。スペインの観光客の一人が、階段を駆け下りようとして転倒、脇を骨折したとNyaung U入管所の責任者が述べた。また、現状では住宅や町内施設には影響がなく、通常通りに観光をすることができ、再び観光客の姿で賑わい始めている。

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4千塔近くのパゴダの中で約10%の被害との発表であるが、この397塔すべてが消失、全壊したわけではない。

具体的には全壊状態のパゴダが1塔、半壊2塔を含め、大きな被害を受けたのは7塔になり、貴重な壁画のはがれ、パゴダの先端部の傘部分の被害や光沢や輝きに支障が出たパゴダを合わせると、15塔ぐらいは優先的に早急に修復する予定だという。

その次の問題は『サイドパゴダ(メインの大きな仏塔の周りに寄り添うように建つ小仏塔)』が崩れて被害が出たことだ。メインの寺院には影響がないのが救いだが、『サイドパコダ』の被害は50~100塔ぐらいになると調査され、ほかにレンガのはがれやわずかな亀裂が入った仏塔が200塔程度あるそうだ。

 

主要なパゴダ・寺院の被害状況

以下のパゴダは入場可能だが登楼は禁止されている。

『ミャウグニーパゴダ North Guni Pagoda』

『ピャタッジーパゴダ Pya That Gyi Pagoda』

『シュエグジ―パゴダ Shwe Gu Gyi Pagoda』

 

以下のパゴダは入場も登楼も禁止されている。

※入場禁止というのは「パゴダ内に入る」もしくは「登楼」が禁止ということであり、ほとんどのパゴダは近くで鑑賞できる。

 

『サイタナジーパゴダ Say Ta Nar Gyi Pagoda』

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『タビンニュ Tha Byin Nyu』

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『パーレーパゴダ Phat Late Pagoda』

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『ターヤーワテパゴダ Thar Yar Wa Tae Pagoda』

『タヨッピィーパゴダ Ta Yote Pyay Pagoda』

『スラマニ寺院 Sulamani Pagoda』

など

どうしても朝日や夕日を観たいという観光客には、登頂可能な『タウングニー South Guni Pagoda』をはじめ『シュエナンインタウ Shwe Nan Yin Taw Pagoda』やDamma Razaka Pagoda近隣の『Oak Taik Temple』などへの訪問をお勧めしたい。

Shwe Nan Yin Taw寺

Shwe Nan Yin Taw Pagoda

 

 

多少損傷した程度で、今まで通りに観光可能な有名パゴダは以下

『シュエサンドーパゴダ Shwe San Taw Pagoda』・・・ティードー(塔の頂にある傘部分)がはずれ、その下の部分から縦長の亀裂が入ったが、現在は登楼可能。ここから見た太陽の輝きは絶景だと言われ、バガンを代表する象徴的スポットとして有名だ。

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『ダマヤンジーパゴダ Damayangyi Pagoda』・・・トップ部分少々崩れあり

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『ローカナンダー Law Ka Nanda』・・・ トップのダイヤモンドが惨落

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『ダマヤザカパゴダ Dhamma Razaka Pagoda』・・・尖塔部分に亀裂、比較的軽微な被害

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『ティローミンローパゴダ Hti Lo Min Lo Pagoda』・・・サイドパゴダ崩れ、トップ部分少々崩れあり

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『シュエシーゴンパゴダ Shwe Si Gon Pagoda』・・・無影響

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『ブーパヤー Buu Pha Yar』・・・無影響

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『パヤトンズ Phayar Thone Su』・・・尖塔部分の分離や後背部のひび割れ

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『カトゥパリンパゴダ Ka Taw Pa Lin Pagoda』・・・無影響

『アーナンダ寺院 A Nan Da Pagoda』・・・上部分にひび

など

 

復元作業のために国中から集まるボランティア

現在は国内様々な地域からボランティアが集まってきている。軍、建設会社、建築家協会、教育専門機関などの公的組織だけでなく、映画撮影協会や金融機関をはじめとした民間の団体や各地域の僧院長なども後片付けのため支援に参加している。パゴダでの清掃作業は考古学部の許可を得て行う。

「仏陀の遺跡は全人類のために残された遺産です。ですから何もしないわけにはいきません。許可が必要であればいつまでも待ちます。出来る限りの支援をしたいのです。ここではミャンマー人すべての心がひとつになり、国家のために尽くすのです」と、シャン州から来た60歳の僧侶はその動機を語ってくれた。

 

「暑いですよ。でも、来てよかったです。正直、ヤンゴンでニュースを聞いたときはショックを受けました。しかし、被害を受けたパゴダというのは少しだけはがれたパゴダも含まれた数字だと分かって安心しました。現地に来たら更に心配が減りましたね。今回は50人メンバーで来ましたが、遺跡復興のために自分自身で協力できるのは幸せなことです。」

CHDB銀行のユニフォームを身に着けたチームの支援グループの一人が笑顔で言った。

 

「これからの修復プランはユネスコの技術指導により考古学的見地から進められていくと考えられます。ただ、地元の方々の意見も重視したほうがいいと思います。9月は毎年観光客が減少しますが、今は地震の影響で減ったわけだとは思いません。バガンにはまだ歴史的に奥深いところがあり、見るべき場所も少なくありません。安心して旅行にきてください。私たちの協会としては、いま作業をしているこのパゴダが終われば、清掃などが必要なまた別のパゴダに移動しますよ」

そう語るのは、Thar Yar Wa Taeパゴダで230人のボランティアを集めて清掃やシートを張る作業を行っている”バガン地域開発協会”のU Khin Mg Nu会長だ。バガン出身で58歳の会長は1975年の地震も経験し、やはり前回の災害がよりひどかったと述べたが、今回はしっかりと修復プランを立てたほうがいいという意見だった。

 

 

次ページ”多方面へのインタビュー、まとめ”

 

 

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